動物福祉の観点からも素晴らしいハズバンダリートレーニング。
前半から是非ご覧ください。
後半では、なぜドッグトレーニングの世界でハズバンダリートレーニングが普及しにくいのか理由を3つ挙げ、それぞれについて解説します。
①犬という動物が小さくか弱いことによる弊害
一緒に住んでいる動物の体重を測りたいとします。
もしも一緒に住んでいる動物がライオンだったら。150キロのライオンを人間2〜3人で死にものぐるいで持ち上げて体重計に乗せますか?きっとその前にもっと良い方法を考えるでしょう。
では3キロのトイプードルを体重計に乗せたかったらどうします?抱っこしてぽいっと乗せてしまおうって想像する人は多いのではないでしょうか。
実際にトレーニングとして大事なのは出来るか出来ないかという所とは別に、それをすることでその動物がどんな気持ちになってなにを学ぶかです。無理やり抱っこして乗せることで体重計が嫌いになってしまう可能性があるということ。その感情の部分だけ考えればライオンもトイプーも同じはずです。
大きさが小さいことによってその子の気持ちが後回しにされがちです。
②トレーニング自体の難しさ
ハズバンをおこなうにはある程度の予備知識が必要です。ハズバンの定義を理解しておくこと。犬からの嫌のサインを読み取るためにボディランゲージの理解。そして最も重要なトレーニングを完成させるまでのプランの組み立て。どれも分かってしまえばシンプルで単純だけど最初は取っつきにくいのも事実です。
③時間がかかるという問題
これが大きな悩みの種です。単純に人が根気強くやっていけば良いと思っていても時の流れがそれを許してくれないというのがよくある流れ。
例えば爪切りをハズバンで切るということを考えた場合、もともと爪切りに苦手意識がないならトレーニングは速効で進められます。爪切りが既に苦手になっている場合、長ければ半年以上のトレーニング期間がかかることも珍しくありません。
そのトレーニング期間の間に爪は伸びてしまい結局強引に切ってしまうと積み重ねたトレーニングも崩れてしまいます。そうならないためには動物病院やトリマーとも情報の共有をして進めていくなど様々な工夫が必要になっていきます。手間と時間がかかるところもハズバンダリートレーニングが普及しない理由の一つといえます。
目の前の困った行動をはやく治したいと思うと速効性のある方法は魅力的。それが犬にとって負担のかかる方法であったとしても改善して犬も飼い主も結果的に楽になるのなら良い選択肢になり得るでしょう。
ただ焦って速効性を求めた結果さらに拗れてしまうこともあるので要注意です。
ハズバンダリートレーニングの理想形は困った行動を改善する手法というよりも、将来困らないために予防として最初のうちから取り入れていくのが良いと思います。そうすれば学習はスピーディに進めやすく人にとっても楽しいトレーニングになりやすいでしょう。
そのためには犬と暮らし始めの段階からハズバンダリートレーニングという言葉が飼い主さんの耳に入るくらい普及していないといけないわけで…。
まだまだ先の長い話ですが動物病院やトリマーさんなど他業種の方とも連携しつつ広めていけたら良いなぁと思っています。
将来的にもっと多くの犬たちが人との暮らしに安心感を感じてくれるようになるために。