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ハズバンダリートレーニングは便利が目的じゃない【前編】

最近SNSのおかげでだいぶ広まってきたハズバンダリートレーニング。
はじめて聞く、または聞いたことあるけど意味はよく分からないという方にはイルカのトレーニングをイメージしてもらうと良いかなと思います。
実際このトレーニングの始まりはイルカからと言われていますから。

これはイルカの口腔内の様子を確認するトレーニング。もし人間が強引に口を開けさせていたら(そもそも人間の力で出来るのか不明)きっとイルカさんは嫌がって人間の方に近づいてくることはなくなってしまうでしょう。
これはイルカが自らの意思で口を開けてくれています。その間に歯磨きをさせてもらったり口の中に異常がないかを人間がチェックします。最後まで口を開けていてくれたらご褒美にお魚が貰えるっていう流れ。

このように、人がしたいお手入れや治療などの健康管理に協力してもらう訓練をハズバンダリートレーニングといいます(※以下ハズバンと略す)

これは動物園でも広まっています。例えばゾウ。動物の体重を測りたいときに動物に合図で体重計に乗るように教えたり、採血をする際に檻の外側に耳を出すように教え、そこから針を刺して採血するといったこともおこなわれています。この採血は1年以上かけて計画的にトレーニングされています。

東山動物園にて撮影。ハズバンダリートレーニングの紹介が見やすいところにちゃんと書かれてます。

このハズバンの大きな特徴は動物が嫌だと感じたら動物の意思でいつでも止められるということです。

最初に話したイルカなら口を閉じる。ゾウなら耳を動かす。そうすればそれ以上しつこくやらない。
その絶対の掟があるからこそ動物との信頼関係が築けるのです。

ハズバンは欧米発祥ですが、日本でも水族館や動物園を中心に広まっていきました。麻酔銃で無理やり眠らせていたり動物に過度なストレスをかけなくても治療ができるようになったのはまさに画期的です。少し前にニュースになっていた中国に帰ってしまったパンダさんも自分から手を飼育員さんに出して採血をさせるようトレーニングをしていました。ご興味ある方は下記上野動物園さんのブログを御覧ください。

https://www.ueno-panda.jp/topics/detail.html?id=349

そんなハズバンダリートレーニングは、ここ10年ほど前からドッグトレーニング業界でも少しずつ広がっていきました。といってもまだトレーニングに関心のあるトレーナーは五分五分。動物病院やトリミング業界でもそれほど浸透していないため実際の治療や施術で取り入れている施設は愛知県にも数えるほどしかないでしょう。そして肝心の飼い主さん界隈ではトレーニングに定期的に通う方でもないとまずトレーニングの内容どころか名前すら知らないという方がほとんどではないでしょうか。
自分自身がハズバンが大好きなのでこの広がりそうでそうでもない今の感じは結構焦れったさを感じています。

さて。ここからが本題。
ではなぜ水族館のイルカよりも動物園にいるパンダよりも。人と共に暮らしている犬のほうが遅れをとってしまうのか。
ちょっと冷静に考えてみようじゃありませんか。そこに人と犬の取り巻く課題点が見えてくるんじゃないだろうかって考えた次第です。

続きは次回に。
後半では、犬におけるハズバン普及の難しさと、その背景にある人と犬の関係性について掘り下げていきます。